ごあいさつ

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教授からのごあいさつ

東北大学眼科学教室は1917年(大正6年)に小柳美三先生が初代主任教授に任命され、2011年現在で開設95年を迎え、国内でも大変長い歴史を持つ眼科学教室の一つです。これまでに当教室から「Vogt-小柳型ぶどう膜炎」、「桐沢型ぶどう膜炎」、「加齢黄斑変性症に対する虹彩色素上皮細胞移植」、「角膜上皮細胞シート移植」など、どれも世界に誇る成果と多くの優秀な人材を輩出してきました。私は第7代の眼科学分野教授として、この伝統を引き継ぎつつ、優秀な教室員と共に新たな歴史を刻むべく誠心誠意失明予防に取り組んでおります。

東北大学は世界的に高い評価を受ける工学部もあり、大学病院では他科診療科も非常に高いレベルの診療を展開していることから、他学、他科の連携により東北大学の利点が有効に生かされると考えられます。今後は大学病院の集約化、効率化が進み、東北大学病院は東北地方の中心的な基幹病院として、基礎研究体制が整備されている数少ない研究中枢機関として世界に果たす役割は一層増大すると考えております。そういった素晴らしい環境を武器に、眼科のプロフェッショナル集団として、一人でも多く患者の視覚を守ることを信念として行きたいと思っています。皆で力を合わせ、東北大学眼科のメンバーであることに誇りを持ち、自分に実力をつけ、やりがいの持てる医局を目指しております。

大学眼科に期待される仕事として「診療」「研究」「教育」が重要な3大要素です。「診療」は私が専門とする緑内障をはじめ、網膜硝子体、白内障、角膜、ぶどう膜、神経眼科、斜視弱視など専門性を重視し、あらゆる眼疾患に対して幅広くレベルの高い医療を実践する体制で臨んでおります。確実な診断、適切な治療、特に手術による視力回復において、世界高水準の医療を提供します。また、今後も最新の技術革新を着実にフォローし、積極的に取り入れる方針でおります。

「研究」は既存の治療法で解決できない難治性眼疾患に対してブレークスルーを起こし、新たな医療を創成するには不可欠な要素です。当教室では研究を通し、真の意味での「失明予防」を目指しております。臨床研究では、疫学や遺伝子検索、最新検査機械の応用により臨床上の問題点や限界を抽出し、基礎研究のテーマを絞り込む研究や手術補助機械の開発や新しい治療につながる診断技術の眼科応用などを行います。専門的な知識と技術を高めるだけでなく、病態から検査や治療の本質を理解し、検査データや周辺知識を科学的に思考できる能力を培う意味において、基礎研究で培われる思考力は大切であると考えます。眼科の分野では「基礎研究」というと敬遠したくなる先生も多いかと思います。大学院課程は研究を通して、全く未知なことに対し(1)仮説を立て、(2)どのように真実を見極めるか戦略を立て、(3)他人を説得するデータを表現し、(4)生涯残る論文を書きまとめるという過程を通して勉強する人生の充電期です。全国を見ても、眼科でこういった機会を持てる大学はマンパワーに余裕のある規模の大きい大学だけです。私の専門とする神経保護治療開発研究は世界でもトップレベルであると評価を頂いており、これまで各種病態モデルを利用し、細胞レベル、分子レベルの病態解明を展開してまいりました。ここから、研究成果を臨床に還元するために「トランスレーショナルリサーチ」を強力に推進し、新規の治療法を我々の手で確立できるように進めて行く所存です。また、眼科学教室で行っているドラックデリバリーシステムの開発、網膜疾患の治療法の開発、遺伝性疾患の原因遺伝子同定など、いずれも世界に通じる研究成果を挙げていると自負しております。我々の研究室の特徴は異分野融合であり、医師、理工薬学研究者、企業からの研究者、海外からの留学生が同じ場所で議論しながら研究しているとともに、国内や海外施設との共同研究を行っています。これからもこれらのテーマを中心に研究を継続発展させていきたいと考えております。

最後に「教育」ですが、医療、医学の発展のために、良い医師、次世代を担う人材を育成することが私の使命と考えております。同窓会や関連病院の先生方と一体となって、到達目標、教育方法、評価法を明確にした教育研修プログラムを新たに作成し、眼科医師のプロフェッショナルとしての技術と倫理観とを習得できるよう心を配っております。豊富な臨床症例に支えられて、実力のつく実習が可能であると思います。また、患者との信頼関係の構築、スタッフとの関係、仲間医師との連携など医師としての基本も大切にしていきたいと思っております。

我々の教室は常にオープンであり、我々の診療や研究、教育方針にご興味を持っていただける方がおられましたら、心より歓迎いたします。是非気軽に見学にいらしてください。一緒に新しい時代を東北大学から切り開いていきましょう。

眼科学分野 教授 中澤 徹